AI副業の確定申告|20万円ルール・所得区分・経費・住民税申告を公式情報で整理
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給与を1か所から受け、その全額が源泉徴収の対象になっている会社員は、副業などの所得の合計が年20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です(国税庁タックスアンサー No.1900)。数えるのは副業の「収入」ではなく、収入から必要経費を引いた「所得」です。所得が20万円以下で確定申告をしない場合も、住民税は市区町村への申告が必要とされています(名古屋市・大阪市の説明)。
この記事は令和7年分(2025年の所得)を基準に、国税庁と自治体の公式情報で確認しました。令和8年分(2026年の所得)に適用される未施行の条文でも、20万円ルールの所得税法第121条は同じ文言です(納期限は「申告期間」の節)。AIツール代の経費性は公的資料が見つからず、一般則からの推論として区別して書きます。
申告が必要かを3ステップで判定する
ステップ1: 給与の受け方を確認する
確定申告が必要になる条件は、給与の受け方で変わります(国税庁 No.1900)。
| 給与の受け方 | 確定申告が必要になる条件 |
|---|---|
| 1か所から受け、全額が源泉徴収の対象 | 給与所得・退職所得を除く各種の所得金額の合計が20万円を超える |
| 2か所以上から受け、全額が源泉徴収の対象 | 年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額の合計が20万円を超える(例外あり) |
| 年間の給与収入が2,000万円を超える | 副業の額にかかわらず必要 |
確定申告をすれば税金が還付される人は、申告義務のある人から除かれます(還付申告は別の手続きです)。
ステップ2: 副業の所得を出して、20万円と比べる
所得は「総収入金額 − 必要経費」です(雑所得は No.1500)。次の金額は計算の例示(仮の数字)です。
- 収入30万円 − 必要経費12万円 = 所得18万円 → 20万円以下
- 収入30万円 − 必要経費5万円 = 所得25万円 → 20万円超
収入が同じでも、必要経費で結論が変わります。入れてよいか迷う費用は、入れた場合と入れない場合の両方で所得を出し、結論が変わるときは税務署・税理士に確認します。
20万円は給与所得と退職所得を除く各種の所得の合計で判定するため、複数の副業やほかの所得は合算します。副業の報酬に源泉徴収がされていたかは、この判定の要件に入っていません(所得税法第121条第1項第1号)。
つまり、次の条件をすべて満たす会社員は、所得税の確定申告が不要です。
- 給与を1か所から受け、その全額が源泉徴収の対象で、給与収入が2,000万円以下
- 副業などの所得の合計が年20万円以下
- No.1900 のほかの申告義務(同族会社の役員が貸付金の利子を受け取る場合など)に当たらない
ステップ3: 確定申告をしない場合は、住民税の申告を確認する
所得税の確定申告をすれば、住民税の申告は別に要りません(名古屋市・大阪市)。しない場合は、市区町村への住民税の申告が必要とされています。
所得区分: AI副業は雑所得か、事業所得か
副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)は雑所得に該当し、営利を目的とした継続的なものは「業務に係る雑所得」です(No.1500)。AIで作った文章や画像の販売収入の区分を直接示した国税庁の説明は、見つかりませんでした。報酬型の案件は原稿料などの例示に近いと読めますが、これは解釈です。
事業所得かどうかは、活動が社会通念上事業と称するに至る程度かで判定します(所得税基本通達35-2)。同通達の令和4年10月7日の改正に付された国税庁の解説は、活動の規模で判定するとして、帳簿書類の扱いを次のように示します。
- 記録し、保存している場合: 事業所得に区分される場合が多いと考えられます。ただし、次の場合は事業と認められるかを個別に判断します
- 収入が僅少と認められる場合(例えば、例年〔概ね3年程度〕300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満)
- 営利性が認められない場合(例年赤字で、赤字を解消する取組もしていない)
- 記録していない、または保存していない場合: 原則として事業所得に区分されないものと考えられます。ただし、収入が300万円を超える規模で、事業所得と認められる事実があれば事業所得と扱います
つまり、給与が主たる収入の会社員は、副業の収入が例年300万円以下で給与の10%未満なら、帳簿を付けていても事業所得とは限らず、個別判断になると考えられます(解釈)。
⚠️ 落とし穴 「300万円以下なら雑所得」「帳簿を付ければ事業所得」と覚えると、区分を誤ります。「300万円」は別々の3つのルールに出てきます。①前々年分の業務に係る雑所得の収入が300万円を超える人は、取引の書類を保存する義務があります(令和4年分以後。令和7年分の前々年分は令和5年分)。②前々年分が300万円以下なら、その年に収入した金額と支出した費用で計算する現金主義の特例を使えます。③帳簿書類の保存がなくても、収入が300万円を超え、事業所得と認められる事実があれば事業所得と扱います。どれも区分の境目そのものではないため、収入額だけで決めず、帳簿の有無・収入の規模・営利性を並べ、迷うときは税務署に確認します。
必要経費: AIツール代・PC・通信費はどこまで入るか
雑所得の必要経費は、収入を得るために直接要した費用と、その年に生じた販売費・一般管理費などの業務上の費用です(No.2210、所得税法第37条第1項)。
ChatGPTやClaudeなどのAIツール代を、国税庁が経費と示した資料は見つかりませんでした。以下は上の一般則の当てはめで、解釈です。
- 副業の作業にだけ使う分(AIツールの有料プラン・API利用料など): 業務上の費用に当たると考えられます
- 私用と兼ねる分(AIツール・通信費・スマホ代・PCなど): 家事関連費です。所得税法施行令第96条第1号は、主たる部分が業務上必要で、その部分を明らかに区分できる場合に、その部分を必要経費とします。所得税基本通達45-2は、業務上必要な部分が50%を超えるかで主たる部分を判定し、50%以下でも明らかに区分できれば算入して差し支えないとします。雑所得の按分はこの2つによると読めます(要税理士確認)
⚠️ 落とし穴 私用と兼用のサブスクや通信費を、全額そのまま経費に入れると、後から根拠を示せなくなります。国税庁は、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる部分に限ると説明しています(No.2210)。回避するには、請求書や利用履歴など割合の根拠になる記録を、日付・金額・用途つきで残します。AIツールで、どの記録がどこまで通るかを示した公的資料は見つかりませんでした。個別の判断は、計上前に税務署・税理士へ確認してください。
住民税の申告: 所得税の確定申告が不要でも必要になる
住民税の申告書は、3月15日までに、賦課期日現在の住所地の市町村長へ提出します(地方税法第317条の2第1項)。大阪市は、土曜日・日曜日・祝休日の場合は翌開庁日までとしています。
⚠️ 落とし穴 「副業の所得が20万円以下だから、何も出さなくてよい」と考えると、住民税の申告が漏れます。20万円ルールは所得税の確定申告の基準で、住民税は20万円以下でも申告が必要と、名古屋市や大阪市が説明しています。回避するには、次の順で進めます。①収入と必要経費を1年分集計して所得を出す。②20万円を超えれば、所得税の確定申告をする。③以下なら、期限までに市区町村へ住民税を申告する。全国共通の書類名は確認できていないため、書式と提出方法は、お住まいの市区町村のサイトか住民税の担当窓口で確認します。
申告期間と、期限を過ぎたとき
令和7年分(2025年の所得)の受付は令和8年2月16日(月)から3月16日(月)まで、納期限も同日でした(国税庁「確定申告の手引き」)。令和8年分の納期限は、国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」に令和9年3月15日(月)とあります。申告期間の公表は確認できていません。
期限内に申告しなかった場合も、気づいた時点でできるだけ早く申告します。期限後申告として扱われ、納める税金は申告書を提出した日が納期限です(No.2024)。
期限後申告には、無申告加算税がかかる場合があります。調査の事前通知の前に自主的に申告したときは、納付すべき税金の5%です。法定申告期限から1か月以内の自主的な申告など、複数の要件をすべて満たせば課されない場合もあります。
相談先と、確認できなかった2点
判断に迷う点は、税務署か税理士に確認します。国税は、電話相談センター(0570-00-5901、8時30分〜17時00分。土日祝日と12月29日〜1月3日を除く)でも相談できます。収入と必要経費の一覧、経費の請求書や利用履歴、報酬の入金履歴と、この記事で確認できなかった次の2点を用意して尋ねます。
- 私用と兼ねる費用(AIツール代・通信費など)の経費性と、按分の割合
- 雑所得のみの副業で、開業届が必要か
よくある質問
Q. 副業の収入が20万円を超えたら、確定申告が必要ですか?
A. 「収入」ではなく、収入から必要経費を引いた「所得」で判定します。収入が20万円を超えていても、所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です(給与1か所・全額源泉徴収で、ほかの申告義務にも当たらない場合)。
Q. 副業が赤字のとき、給与と損益通算できますか?
A. 雑所得の金額の計算上生じた損失は、他の所得と損益通算できません(No.1500)。
Q. 住民税の申告で、副業を会社に知られないようにできますか?
A. 「知られない」と言い切れる説明は、確認できた資料にありませんでした。大阪市は、副収入が給与以外(雑所得・事業所得など)なら、住民税の徴収方法を申告の際に選べるとしています。副収入が給与所得なら選べず、主たる給与の勤務先で特別徴収(給与から差し引く方法)になります。他の自治体の運用は確認できていないため、申告前に、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口へ、徴収方法を選べるかを尋ねます。
Q. 雑所得の副業でも、開業届は出す必要がありますか?
A. 所得税法第229条の対象は、不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業の開始等です。国税庁 No.2090 と条文に、雑所得のみの副業の開業届の要否は書かれていないため、税務署に確認してください。提出する場合の期限は、開業等の日で分かれます。2026年1月1日以後の開業等は「事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。2025年12月31日以前の開業等は従前の例で、「事実があった日から一月以内」です(令和5年法律第3号 附則第10条)。No.2090 は新しい期限だけを載せています。
まとめ
- 20万円ルールは「所得(収入−必要経費)」で判定します
- 所得税の確定申告をしない場合は、20万円以下でも住民税を市区町村へ申告します
- AIツール代の経費性を直接示した公的資料はなく、私用と兼ねる費用は業務で使った部分を記録で区分します
最初の一歩は、副業の収入と業務に使った費用を、日付・金額・用途つきで記録することです。所得の計算と家事関連費の区分の両方に使えます。
次に読む(状況別):
- 副業の始め方、収入の見積もり、就業規則やツールの商用利用条件の確認から見直したい → AI副業の始め方完全ガイド
参考文献:
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 国税庁 タックスアンサー No.1500「雑所得」
- 国税庁 所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係(35-2)
- 国税庁「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」(令和4年10月7日)
- 国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」
- 国税庁 タックスアンサー No.2090「新たに事業を始めたときの届出など」
- 国税庁 タックスアンサー No.2024「確定申告を忘れたとき」
- 国税庁「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」
- 国税庁「国税に関するご相談について」
- 名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は?」
- 大阪市「市民税・府民税・森林環境税(全般)に関するQ&A」
※本記事は一般的な情報の整理で、個別の税務判断ではありません。掲載内容は執筆時点の公開情報に基づき、改正で変わることがあります。最終的な判断はご自身で行い、判断に迷う点は税務署・税理士へ確認してください。