都道府県別のプロパンガス料金|公的データで見る地域差と自分の料金の位置
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石油情報センターの確報(2026年6月末現在)で、10m³使用時の料金は、県の値で最大3,322円開いています。公表値で最も低いのは奈良県の8,639円、最も高いのは北海道の11,961円です(基本料金・設備料金・消費税込み)。全国計(全国の平均)は9,697円で、これを上回るのは47県中20県です。
ただし、県の値は、自分の料金が適正かを判定する基準ではなく、同じ使用量の総額との差を測る物差しです。同じ経済産業局の管内でも、調査店の総額は大きく開きます(関東局の10m³は最低5,599円、最高14,600円)。47都道府県の値と、検針票を同じ使用量で県の値と比べる式を示します。
データの出典と価格の定義
出典は、石油情報センター「LPガス 一般小売価格 確報」(2026年6月末現在)と、確報の時系列データです。確報は偶数月の調査で、全国約3,000店を対象に、都道府県別には最低30店を調べています。速報(毎月・約850店)は別の調査なので、この記事では使いません。
価格は「基本料金、設備料金を含む。消費税込み。」の、使用量別の総額(円)です。総額を使用量で割った「1m³あたり」の値は算出値で、従量単価ではありません。
47都道府県の10m³料金(確報 2026年6月末現在)
「全国計との差」は、県の値から全国計9,697円を引いた算出値です。
| 都道府県 | 10m³の総額(円) | 全国計との差(円) |
|---|---|---|
| 北海道 | 11,961 | +2,264 |
| 青森県 | 11,462 | +1,765 |
| 岩手県 | 10,969 | +1,272 |
| 宮城県 | 9,802 | +105 |
| 秋田県 | 10,742 | +1,045 |
| 山形県 | 10,989 | +1,292 |
| 福島県 | 10,144 | +447 |
| 茨城県 | 8,944 | −753 |
| 栃木県 | 8,816 | −881 |
| 群馬県 | 8,832 | −865 |
| 埼玉県 | 8,928 | −769 |
| 千葉県 | 8,797 | −900 |
| 東京都 | 8,861 | −836 |
| 神奈川県 | 9,150 | −547 |
| 新潟県 | 10,076 | +379 |
| 富山県 | 10,306 | +609 |
| 石川県 | 10,313 | +616 |
| 福井県 | 10,052 | +355 |
| 山梨県 | 9,086 | −611 |
| 長野県 | 9,476 | −221 |
| 岐阜県 | 9,423 | −274 |
| 静岡県 | 9,180 | −517 |
| 愛知県 | 9,218 | −479 |
| 三重県 | 9,348 | −349 |
| 滋賀県 | 9,646 | −51 |
| 京都府 | 9,444 | −253 |
| 大阪府 | 8,970 | −727 |
| 兵庫県 | 9,783 | +86 |
| 奈良県 | 8,639 | −1,058 |
| 和歌山県 | 9,209 | −488 |
| 鳥取県 | 10,253 | +556 |
| 島根県 | 10,702 | +1,005 |
| 岡山県 | 10,096 | +399 |
| 広島県 | 9,687 | −10 |
| 山口県 | 10,458 | +761 |
| 徳島県 | 9,438 | −259 |
| 香川県 | 9,700 | +3 |
| 愛媛県 | 9,431 | −266 |
| 高知県 | 9,121 | −576 |
| 福岡県 | 9,499 | −198 |
| 佐賀県 | 10,226 | +529 |
| 長崎県 | 9,796 | +99 |
| 熊本県 | 9,363 | −334 |
| 大分県 | 9,465 | −232 |
| 宮崎県 | 9,711 | +14 |
| 鹿児島県 | 9,544 | −153 |
| 沖縄県 | 9,464 | −233 |
- 公表値の高い方から5県は、北海道と東北の4県(青森県・山形県・岩手県・秋田県)です。低い方から5県は、奈良県と関東の4県(千葉県・栃木県・群馬県・東京都)です。最高と最低の差は 11,961 − 8,639 = 3,322円、倍率は 11,961 ÷ 8,639 = 約1.38倍です。
- 全国計は前年同月(2025年6月末)の9,207円から9,697円へ、490円(+5.3%)上がりました。47都道府県すべてが上昇しています。理由は公表資料に書かれていません。
自分の料金を、同じ使用量で県の値と比べる
上の表は10m³の値だけで、使用量が違う月は県の値と直接引き算できません。
- 使用量と総額を書き出す。 検針票の使用量を x(m³)、基本料金・従量料金・設備料金(別立てなら)を合計した消費税込みの総額を Y(円)とします。税抜の表示なら、消費税を加えて税込にそろえます。
- 同じ使用量の基準額 B を出す。 確報のページ(参考文献)に、県別の5・10・20・50m³の総額があります。x がその4つのどれかなら、その値が B です。間の使用量なら、x をはさむ2点(a m³、b m³)の総額 P(a)・P(b) から、次の式で求めます。B = P(a) + (x − a) × (P(b) − P(a)) ÷ (b − a)
- 差 D = Y − B を出す。 D がプラスなら、同じ使用量の県の値より高い月です。
例(仮の数値、全国計の値)です。12m³の月の総額が12,000円だったとします。全国計は10m³が9,697円、20m³が16,892円です。B = 9,697 + (12 − 10) × (16,892 − 9,697) ÷ (20 − 10) = 11,136円です。D = 12,000 − 11,136 = +864円です。
間の値は、総額の平均を直線で結んだ目安です。5m³未満や50m³超の月は比べられません。手元の検針票では、使用量の違う月も、月ごとに B を出し直して D を出します。D の金額は使用量にも左右されるので、金額よりプラスかマイナスかを見ます。プラスの月が続くときは、プロパンガスの適正価格の目安の手順で、基本料金・従量単価・設備料金に分けて確認します。何か月分で足りるかを決めた公的な基準は、確認した範囲では見つかっていません。
⚠️ 落とし穴 20m³の月の総額17,000円(仮の数値)を、10m³の全国計9,697円と直接引き算する失敗です。7,303円も高く見えますが、使用量が倍で総額が増えただけです。20m³同士(16,892円)で比べた差は108円です。使用量の少ない月は逆に安く見えます。「総額 ÷ 使用量」は、基本料金の分だけ使用量の少ない月ほど高く出ます。全国計では5m³で1,185円、50m³で約739円で、従量単価とは比べられません。使用量をそろえた基準額 B との差で判断します。
この分析で言えること・言えないこと
言えること
- 県の値は、同じ使用量の総額を比べる基準線になります。最高と最低の倍率は、2011〜2026年の各年6月末でも1.37〜1.44倍です(算出)。今年だけの動きではありません。
- 同じ局の中でも、店ごとの総額は大きく開きます。局は経済産業局の区分で、関東局は新潟・山梨・長野・静岡を含みます。公表資料の局平均シートでは、関東局の10m³は調査店の最低が5,599円、最高が14,600円、局平均が9,079円です。局平均との差は、最高が 14,600 − 9,079 = +5,521円、最低が 5,599 − 9,079 = −3,480円です。両端は極端な値を含みうるので、乗り換え先の料金の目安にはなりません。
- 基本料金の最高値も、関東局は3,320円で、局平均1,930円を大きく上回ります。基本料金の列は、税の扱いが資料に明記されていません。
言えないこと
- 県ごとの高い・低い理由。料金が高くなる一般的な理由は、プロパンガスが高い理由と料金を下げる方法にまとめています。
- 自分の契約が適正かどうか。県の値は販売店の小売価格の平均で、適正の基準ではありません。店ごとの幅から、県の比較に意味がないとも、乗り換えれば下がるとも読めません。
- 順位の細かな差(大分県と沖縄県は1円差)と、10m³以外の使用量での県ごとの並び。
⚠️ 落とし穴 総務省の家計調査のガス代を、県ごとの料金の高低と読む失敗です。家計調査の表は、都道府県別ではなく都市別(52都市)です。2025年の年報(二人以上の世帯)で、ガス代が最も多い京都市は年81,130円です。内訳は都市ガス80,565円、プロパンガス565円です。プロパンガスが最も多い那覇市は40,339円、最も少ない神戸市は483円で、全国は20,516円です。これらは、ガスを使っていない世帯も含めて総世帯数で割った、1世帯当たりの年間支出額です。利用世帯が少ない都市ほど小さくなります。料金の水準は、支出額ではなく確報の使用量別の価格で見ます。
地域差の背景として公的資料に書かれていること
経済産業省の液化石油ガス流通ワーキンググループの資料に、地域差への言及があります。
- 2016年5月の報告書は、家庭用LPガスの小売価格には「地域毎の販売・配送事情による分散型エネルギー特有のコスト構造により地域差があること」や、各社間でも料金が異なるという事情がある、と述べています。
- 2024年4月19日の中間とりまとめは、流通が多段階で複雑なうえ、ボンベの小口配送で軒先まで人の手で運ぶため、人件費を含む配送費用が高コストとなる構造にある、と述べています。
どちらも、都道府県ごとの理由や要因の大きさを示すものではなく、県間の価格差を数値で分解した官庁資料も、確認した範囲では見つかっていません。「〇〇県が高いのは△△が原因」とは断定できません。
よくある質問
Q. 県の平均が全国計より高いと、自分の料金は仕方ないのでしょうか?
A. 県の平均だけでは決まりません。同じ経済産業局の管内でも調査店の総額は大きく開き、2016年の経済産業省の報告書も、各社間で料金が異なると述べています。同じ使用量の総額で県の値との差を出し、プラスが続くなら、基本料金・従量単価・設備料金に分けて確認します。
Q. 北海道や東北が高い理由は何ですか?
A. 県別の理由を数値で分けた公的資料は、確認した範囲では見つかっていません。2016年の報告書は販売・配送事情によるコスト構造に、2024年の中間とりまとめは配送費用の高さに触れています。どちらも、都道府県ごとの差の説明ではありません。
Q. 他のサイトや検針票の数字と合わないのはなぜですか?
A. 使用量、調査の種類、時点、定義が違う可能性があります。この記事は確報の2026年6月末現在(2026年7月31日公表)、10m³使用時の総額です。確報は偶数月の調査で、ページには最新の月だけが載り、過去分は時系列データにあります。検針票の総額は、上の手順で同じ使用量に合わせて比べます。
まとめ
県の値は、同じ使用量の総額を比べる基準線です。同じ局の中でも店ごとの料金は大きく開くため、平均との差は内訳を確認するきっかけとして使います。最初の一歩は、検針票から使用量と総額を書き出し、同じ使用量の県の値との差を出すことです。
次に読む(状況別):
- 差が出たので、単価と基本料金に分けたい → プロパンガスの適正価格の目安
- 高い理由と下げる選択肢を知りたい → プロパンガスが高い理由と料金を下げる方法
- 値上げの通知が届いた → 値上げの妥当性の確認手順
- 賃貸で、自分では切り替えにくい → 賃貸の入居者ができる対処法
参考文献:
- 石油情報センター「LPガス 確報」(2026年6月末現在)
- 石油情報センター 確報の時系列データ(前年同月・各年6月末)
- 石油情報センター 公表資料「全国統計」(局平均シートの最高値・最低値・注記)
- 石油情報センター「Q&A」(調査方法・調査店数)
- 経済産業省 液化石油ガス流通ワーキンググループ 報告書(2016年5月)
- 経済産業省 液化石油ガス流通ワーキンググループ 中間とりまとめ(2024年4月19日)
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)」2025年 第7-1表(e-Stat)